安全運転マネジメントの経緯

ヒューマンエラー防止のための制度

平成17年に入って、ヒューマンエラーが原因と考えられる事故等が多発しました。これらの事故・トラブルの多くに共通する因子として、システムの構成要素の1つである人間が、与えられた役割を果たせなかったことによるエラー、いわゆる「ヒューマンエラー」との関連が一般的に指摘されました。国土交通省は、その原因、背後関係の調査、再発防止及び未然防止の方向性を検討するために、「公共交通に係るヒューマンエラー事故防止対策検討委員会」を設置し、その検討会の中で、今回の安全管理体制についての一つの方向性を出しました。

「ヒューマンエラー」には、信号の見落としや管制指示間違いなどのうっかりミスや錯覚等により「意図せず」に行ってしまう狭義の「ヒューマンエラー」と、時間の短縮を図る状況に追い込まれて安全手順違反をするなど、行為者がその行為に伴う「リスク(危険性)」を認識しながら「意図的に行う不安全行動」があり、特に「意図的に行う不安全行動」の原因として、「不安全行動」を容認するような「職場環境・企業文化」というものがあるということが、上記委員会から指摘されました。また、その「不安全行動」を防止するためには、運輸事業者において経営トップから現場まで一丸となった安全管理体制を構築し、その安全管理体制の実施状況を国が確認する仕組みを導入することで、事業者内部における「安全意識の浸透」や「安全風土の構築」を図るメカニズムを組み込む必要性があることも指摘されました。

そのためには、事業者が「PDCAサイクル」の考え方を取り入れた安全管理体制を構築し、その体制の継続的な運用・改善に取り組むこと、国が事業者における安全管理体制の確認を行う「安全マネジメント評価」を実施すること等が必要と、新たな方向性が示されました。